雪降る新宿の夜
2011年2月11日
某巨大インターネット掲示板に、通り魔を起こすという犯行予告が書き込まれた。
『2011年2月11日、21時ちょうどに新宿駅のJRハイウェイバスの入り口付近で無差別殺人をする』という内容だった。
『ROCKET NEWS24』
じゃぶ山は奇遇にもちょうどその日時に、犯行予告現場にいた![]()
SQ-CUBEさいたまでの試合をちゃっちゃと終わらせ、私は新宿にある、とある目的地に向かうため新宿にいた。
犯行予告の翌日に会う約束をしていた人物には、事前にその新宿にある目的地に21時に行き、宿泊先も新宿である事を告げていた。
まだ試合会場に居た頃、その翌日に会う約束をしていた人物から不可思議なメールが届いた。
「今日の21時に新宿で通り魔を起こすという犯行予告があったらしいから気をつけて」
という内容だった。
21時に新宿とは、私はちょうど新宿にいてるではないか![]()
翌日に会う人物が心配してくれてメールをくれたが、どうせイタズラだろうし、その犯行予告現場には行かないという認識でいた。
そして、新宿にある目的地へ向かい、新宿駅の改札を出ると警官が二人いた。
長い警棒を二人とも備えている。
また、「ガーディアンエンジェル」 の方々も沢山いた。
少しバカにしていたじゃぶ山は、この時、「ひょっとすると、ひょっとするかもしれない」と真剣になり、心拍数が上がり動揺し始めたのを感じ取った。
ニュースに出るような犯行に無縁なじゃぶ山は、自分の身の近くに、そして、もうすぐ犯行予告の21時が近づいている事に、東京に対するイメージが変わった。
夜の有楽町や銀座の街並みが好きで東京が好きになったが、今回の犯行予告で東京は本当に物騒で恐ろしい街と思えてきた。
その目的地に行く先々ですれ違う人たちの会話は、「あと何分で犯行時間だ!」、「犯人は3人だ」とか、ほとんどが犯行予告についてだった。
皆、関心はあるが自分には関係ないという面持ちでいる。
目的地に向かうにつれて増えていく警官とガーディアンエンジェル、そして人だかり。
正直に言おう![]()
この時、じゃぶ山は道に迷っていた![]()
地図は持っているものの、新宿駅の大きさに出たかった出口に出られず、目に付く適当な出口から出たため、現在地が全く分からなかった![]()
何となくな感じで目的地に向かっていると、かなりの警官と野次馬がいる所を通り過ぎた。
この時、ふと時計を見ると時刻は20時50分。
犯行まで残り10分![]()
じゃぶ山の向かう目的地で行われる時刻も21時ちょうど。
残り10分でまだ自分の居場所も掴めていないじゃぶ山。
しかし、目的地に近づいているのは分かっていた。
刻々と迫る21時![]()
未だ現在地が分からないじゃぶ山に不安と恐怖が襲ってきたのと同時に、新宿駅前も不安と恐怖が襲い掛かるのが手に取って解る。
ピリピリと緊張感が張り詰める新宿駅前。
無線で連絡を取り合う警官。
ざわめき始める野次馬。
時計を見るじゃぶ山。時刻は20時55分。
街中でこんなに緊迫した空気を感じたのは初めてだ![]()
あとで分かったのだが、その警官と野次馬がたくさん居た場所が、掲示板に書き込まれたまさに犯行予告現場だった![]()
新宿駅の改札を出て、地図を見ながら何となくな感じで目的地に向かっていたじゃぶ山は、
まさか![]()
犯行予告現場を何も知らずに通っていた![]()
しかも、犯行予告時刻の5分前に![]()
![]()
呼吸をするのに、意識して呼吸をしなければならない程、ピリピリと張り詰める犯行予告現場。
一歩でも動くとナイフで刺されると感じる程緊迫している新宿駅前。
当時の天気は雪。
犯行予告現場も雪が降っていた。
寒さと雪で凍てつく空気。
吐く息は当然白い。
雪の降る中、野次馬は傘を差す。
警官は傘も差せず、雪の中を長い警棒を常に使えるよう備えている。
じゃぶ山は人ごみの中、傘を差してラケットバッグを背負っている。
そして、犯行予告時刻まであと数分、さらにざわめく野次馬。
いつの間にか数が多くなっているガーディアンエンジェル。
付近は新宿駅前の飲食街とビルのネオン、そこにパトカーが放つ回転するパトライトの赤い光線が加わり幻想的とも荘厳的とも何とも言えない不思議な光景だ。
この光景はじゃぶ山はテレビのニュースの中でしか見たことがない!
この光景を目の当たりにしてじゃぶ山は実際には数秒だが、意識では何十分も立ちすくんだような気分になっていた。
通りすがりの人がじゃぶ山にぶつかり、我に返った。
警官も野次馬も皆、表情が強張り、目が真剣になり、事を見守っている。
犯行が開始される21時
じゃぶ山の向かう先のショーのスタートも21時
繁華街が恐怖に襲われる21時
参加者、出演者が一体となり盛況を迎える21時
同じ21時は21時でも両極端な性格の21時![]()
まさに天国と地獄
ざわつく新宿駅前で我に返ったじゃぶ山は地図を見直した。
駅前は駅前でもここは駅のどこだ![]()
大阪駅より大きい新宿駅。
慣れない土地に完全に現在地が分からなくなっていた。
冷たいと言われる関東の方に道を尋ねても、目も合わさず「分かりません」と答えられた経験のあるじゃぶ山は、尋ねたこっちが気分が悪くなった。
もうそんな経験をしたくない。
奇遇にも今、道を尋ねるのに最適な人がここ新宿駅前に沢山集まってる。
そう、その方々とは警察の方。
見渡す限り、視界に沢山入ってくる警官。
皆、犯行予告の数分前で寒さと緊張と複雑な心境で表情が強張っている。
目を見れば真剣な眼差しだということはすぐ分かる。
とても声をかけられる雰囲気ではない![]()
声をかけたら逆に怪しまれそうだ。
しかし、じゃぶ山のリミットも近づいている![]()
そして勇気を出して警官二人組みに道を尋ねた。
『ものまねショーレストラン キサラ 』へはどう行ったらいいですか?
そう、キサラとはお酒を飲みながらものまねショーを楽しむ場![]()
じゃぶ山はだいぶ前から21時スタートのショーを見るため予約していた![]()
道を尋ねた警官は当然、キサラを知らないため地図を見せてここに行きたいと言うと、こんな状況にも関わらず丁寧に教えてくれた![]()
そして、犯行予告現場を後にして急ぎ足でキサラへと向かった![]()
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